ルネサスがMCUのコアにRISC-Vを採用した件を解説!

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みなさんこんにちは!2023年11月30日,ルネサスがRISC-Vの採用を発表しました。その件について解説します。


RISC-Vとは?

RISC-Vは、カリフォルニア大学バークレー校で2010年に始まったプロジェクトに由来します。そのころ,CPUアーキテクチャのライセンスはすべて商用として有償でした。オープンライセンスとして使用することを前提に始まったプロジェクトです。

RISC-Vは、そのオープンソース性とライセンスフリーの特性から、多くの企業やスタートアップにとって魅力的な選択肢となっています。特に、組み込みシステムやIoTデバイス、エッジコンピューティングなどの分野で、RISC-Vの採用が進んでいます。また、エンタープライズレベルのコンピューティングやデータセンターでも、RISC-Vベースのプロセッサの開発が進行中です。

RISC-Vのシンプルさとオープン性は、教育と研究の分野でも重要な役割を果たしています。大学や研究機関では、RISC-Vを教材として使用することで、学生や研究者がコンピュータアーキテクチャの基礎を学び、実際のハードウェア設計に取り組むことができます。

ルネサスはなぜRISC-Vを採用した?

ルネサスがCPUに採用しているアーキテクチャは,自社開発のアーキテクチャとARMの2つです。ハイエンドMCUやMPUはすべてARM Coreを使用しています。しかし,ARMは商用で作られているため,ライセンス料が発生します。

そこで業界ですでに注目されているRISC-Vに注目したのだと思われます。RISC-VはARMにも劣らない性能を見せており,その上ライセンスフリーですから,採用しない手はありません。

ルネサスのRISC-V CPUは、3.27 CoreMark/MHzのパフォーマンスを達成し、競合するアーキテクチャを上回る性能を示しています。また、コードサイズを削減し、パフォーマンスを向上させるための拡張機能が含まれています。これにより、設計者はより効率的でパワフルなMCUソリューションを提供できます​。

ARMとRISC-Vの違いは?

1. ライセンスとオープン性

ARM

  • ライセンス制: ARMの命令セットアーキテクチャ(ISA)はARM Holdingsによって開発され、ライセンスを取得することで使用できます。ARMのライセンスは有料であり、企業がARMアーキテクチャを使用するためにはライセンス料を支払う必要があります。
  • クローズドソース: ARMの設計はクローズドソースであり、ARM Holdingsが厳密に管理しています。これにより、ARMのアーキテクチャや設計に関する情報は限定的であり、ライセンスを持つ企業のみがアクセスできます。

RISC-V

  • オープンソース: RISC-VはオープンソースのISAであり、誰でも自由に利用、改変、再配布が可能です。ライセンス料は発生しません。このオープン性により、企業や個人がRISC-Vの設計にアクセスし、独自のプロセッサを開発することが容易です。
  • フリーアクセス: RISC-Vの仕様や設計は公開されており、誰でもアクセスできます。これにより、開発者コミュニティ全体での協力が促進され、エコシステムの拡大が加速しています。

2. カスタマイズ性

ARM

  • 標準化された設計: ARMは広く標準化された設計を提供しており、多くのデバイスに共通のアーキテクチャを使用しています。これにより、互換性やサポートが充実していますが、特定の用途に対するカスタマイズの自由度は限定されます。
  • ライセンス条件の制約: ARMのライセンス条件により、企業がどの程度カスタマイズできるかが制約されることがあります。特に、ライセンス費用や契約条件によっては、自由な設計変更が難しい場合があります。

RISC-V

  • 高いカスタマイズ性: RISC-Vはモジュール式の設計を採用しており、基本的な命令セットに加えてオプションの拡張を追加することで、特定の用途に最適なプロセッサを設計できます。これにより、各企業は自社のニーズに応じたプロセッサを柔軟にカスタマイズできます。
  • ライセンスフリーの利点: ライセンス料が発生しないため、企業は自由に設計を変更し、独自の拡張を追加することができます。これにより、イノベーションが促進され、競争力のある製品開発が可能になります。

3. エコシステムとサポート

ARM

  • 成熟したエコシステム: ARMは長年にわたり市場に出回っており、豊富な開発ツール、ソフトウェアライブラリ、サポート体制が整っています。これにより、企業はARMアーキテクチャを利用した製品開発を迅速に進めることができます。
  • 広範なサポート: ARMは幅広いデバイスで採用されており、モバイルデバイスから組み込みシステム、自動車、サーバーまで多岐にわたります。この広範なサポートにより、ARMベースの製品は多くの市場で高い信頼性を持っています。

RISC-V

  • 成長中のエコシステム: RISC-Vのエコシステムは急速に成長していますが、ARMに比べるとまだ発展途上です。しかし、オープンソースコミュニティの活発な参加により、ツールやライブラリの数は増加しています。
  • 多様なサポート: RISC-Vはそのオープン性により、多くの企業や研究機関が積極的に採用し、サポートしています。これにより、特定の市場や用途に特化したプロセッサの開発が進んでいます。

4. 市場での採用状況

ARM

  • 広範な採用: ARMはモバイルデバイス(特にスマートフォンやタブレット)で広く採用されており、QualcommやSamsung、Appleなどの主要メーカーがARMベースのプロセッサを使用しています。また、組み込みシステムやIoTデバイス、自動車など、さまざまな分野で採用されています。
  • 高い市場シェア: ARMは長年にわたり市場で高いシェアを誇っており、多くのデバイスでデファクトスタンダードとなっています。

RISC-V

  • 新興市場での採用: RISC-Vはそのオープン性とカスタマイズ性から、新興市場やスタートアップ企業での採用が進んでいます。特に、コスト効率の高いソリューションが求められるIoTやエッジコンピューティング分野での採用が増加しています。
  • エコシステムの拡大: RISC-Vの採用が進むにつれ、エコシステムも拡大しており、特定の用途に特化したプロセッサやソフトウェアの開発が進んでいます。

結論

ルネサスがRISC-Vを採用したように,他のMCUメーカーでもRISC-V採用は加速していくように思います。技術エンジニアとしても,様々なアーキテクチャに触れることができるのは幸せですし楽しいです!いつかルネサスのRISC-V MCUを使った開発をしてみたいと思います!そのときはブログで報告しますね!

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